ツキノワグマの目撃件数が最多となっていることを受け、郡山市は10月31日、市役所で関係機関との緊急会議を開き、注意喚起や捕獲に力を入れるとともに、専門家らとクマの出没要因を調査する「地域環境診断」に取り組むことを確認した。
市によると、本年度の市内でのクマの目撃数(10月28日現在)は67件と過去最多。特に10月は昨年が0件だったのに対し同日現在25件と急増し、その多くが熱海地区で目撃されている。
市は、柿や生ごみなどクマの誘引物やクマが入り込みそうな空き家などを確認するほか、住民に注意を促すパトロールを土、日曜日、祝日にも拡充して実施する。また、県から鳥獣対策の専門家の派遣を受け、区長らと共にクマの出没要因を調べる予定で、熱海などでの実施を検討している。
さらに、人里近くに出没する危険な個体をターゲットにわなを増設するほか、やぶの刈り払いや市民への情報提供などを組み合わせた総合的な被害防止対策を進める。
会議には市、県、警察署、市有害鳥獣捕獲隊、県猟友会郡山支部などの関係者が出席した。
「刈り払い有効」 望月福島大准教授
会議ではクマの生態に詳しい福島大食農学類の望月翔太准教授が被害防止に向けた注意点を説明した。
望月准教授は「山に餌が少ない11月は日中も探し回っている」とし、やぶの刈り払いの有効性を挙げた。河川敷など直線的な地形が移動経路になること、犬がほえることでクマが興奮し襲ってくる場合もあることなどを説明した。
また、敷地内に足跡や爪痕などがないかを確認し、車に乗る前に手をたたくなど「人の存在を知らせる」ことの重要性を指摘。クマの誘引物として柿や栗、畑の野菜かす、畜舎の配合飼料、倉庫内のペンキなどを挙げ、戸締まりの徹底を呼びかけた。山地や河川敷での作業はなるべく3人以上の複数人で取り組み、クマ撃退スプレーを携帯する必要性も強調した。
クマに出くわした場合、ある程度距離があるケースは「背中を見せずにゆっくりと後ずさりする」、至近距離ならうつぶせの防御姿勢になって「頭、首、腹を守って致命傷を防ぐ」と述べた。
