末期がんや難病患者向けの有料老人ホームを首都圏で複数運営する会社が、入居者への訪問看護について一律に「頻繁な訪問が必要」との指示書を書くよう主治医に求めていたことが2日、内部資料で分かった。運営会社が受け取る訪問看護の診療報酬は頻度に応じて増えるため、関係者は「報酬を過剰に得る目的だ」と指摘。「漫然かつ画一的」にならないよう定めた国の運営基準にも違反する可能性がある。
こうした老人ホームは「ホスピス型住宅」と呼ばれる。指示書への記入を求めていたのは「ケアギバー・ジャパン」(東京)。取材に対し「医師とのやりとりは守秘義務にも関わるため、回答を控える」とした上で「法令に基づき適正に運営している」と答えた。
ホスピス型住宅を巡っては、共同通信の昨年からの報道により、大手を含む複数の会社で不正・過剰な報酬請求が判明。厚生労働省は今後の対策の一つとして「頻繁な訪問看護は、医師が必要性を指示した場合のみ認める」との案を10月に審議会に示した。対策が骨抜きにされないような対応が求められそうだ。
