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礼節を重んじる日本の柔道を… 教え子がパリ五輪「銅」

08/31 10:11

パリ五輪柔道男子81キロ級で銅メダルを獲得したタジキスタン代表のマフマドベコフ選手(左)とコーチを務めた田村さん

 元県警の田村徹さん(63)=本宮市出身=は、パリ五輪で柔道タジキスタン代表のコーチを務めた。指導した選手は見事に銅メダルを獲得。田村さんは「目標の一つとしていた五輪でのメダルを獲得できて、ほっとしている」と充実感を漂わせた。

 田村さんは1980年に県警に入り、交通機動隊で柔道の特別訓練員として国体に数回出場。指導者としても活躍し、国体成年男子の本県チーム監督としても10回以上参加した。その後、県警を早期退職した田村さんは、柔道指導者らでつくるNPO法人J―Spirit(ジェイ・スピリット、いわき市)の事業の一環として、2019年6月にロシア・イルクーツクに渡航。現地の道場で5年以上指導し、パリ五輪で銅メダルに輝いたソモン・マフマドベコフ選手(25)の専任コーチを務めた。

 「礼節を重んじる日本の柔道を教えたい」と単身で海を渡った田村さん。現地では、初めは正座の意味が分からず、道場でスリッパを脱ぎ捨ることもあった選手らも丁寧に教えることで次第に理解を深めていったという。田村さん自身も宗教の違いによる礼や作法に戸惑いを感じたが、言葉も生活も異なる環境で必死に柔道の魅力を伝え続けた。

 ともに五輪初出場の夢をかなえたマフマドベコフ選手は男子81キロ級に臨んだ。準々決勝で敗れたが、敗者復活戦を勝ち上がり、念願のメダルを手にした。教え子の熱戦を間近で見守った田村さんは「会場の熱気に圧倒された」と振り返る。

 田村さんは契約を終え、日本に帰国した。「役目を終え、充実感でいっぱい。これからも柔道の人気が広まっていけばうれしい」と将来を見据えた。

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