交流サイト(SNS)を通じて現金をだまし取る「ロマンス詐欺」事件で送金する役目を担ったとして、窃盗と電子計算機使用詐欺の罪に問われたフィリピン国籍、愛知県豊田市、工場作業員の女(67)の初公判は24日、福島地裁(島田環裁判官)で開かれた。女は無罪を主張し、弁護側が「客観的事実は認めるが(被告は)犯罪だとは知らず、故意ではなかった」とした。
検察側は冒頭陳述で、女はSNSを通じて「ロバート」と名乗る指示役から、自分の口座に送金される金銭を他人の口座に送金して報酬を得る誘いを受けたと指摘。氏名不詳者らがウクライナ在住の医師などになりすまし、被害者から被告の口座に50万円を送金させた。被告はその口座から45万円を他人名義の口座に送金し、残りを報酬として受け取ったとした。
弁護側は「被告は指示役から求愛され、恋愛感情を抱いていた。指示役から他人名義の口座に金を送るよう仕事として依頼され、その仕事が犯罪とは思っていなかった」と主張した。女は罪状認否で「事件に関わった人たちは知らない」と供述した。
女は9月10日に電子計算機使用詐欺の罪で追起訴されており検察側は11月末までにさらに追起訴する方針を示した。次回公判は11月27日午前10時から。