違反すれば罰せられるからではなく、事故を防ぐために正しい自転車の利用を心がけたい。
自転車走行中の携帯電話使用(ながら運転)と酒気帯び運転に罰則を新設した改正道交法が施行された。有罪となった場合は、ながら運転は6月以下の懲役か10万円以下の罰金で、事故を起こすなどした場合はそれより重くなる。酒気帯び運転は、3年以下の懲役か50万円以下の罰金となる。
改正の背景にあるのは、自転車が絡む事故で、自転車側に何らかの違反があるケースが全国で7割を超えていることだ。県警によると、本県でも半数超のケースで違反がある。
自転車運転中の携帯電話使用については、これまでも都道府県ごとに規則などで禁止されており、本県でも県道路交通規則で5万円以下の罰金となっていた。酒気帯び運転は道交法で禁じられていたが、自動車の場合と異なり、罰則がなかった。自転車は使い方を誤れば、自分や誰かを傷つけてしまうことがある。ルールを知り、守ることで事故の恐れを小さくすることが重要だ。
ながら運転は、スマートフォンの画面などに注意が向いてしまうため、周囲の危険に気付くのがどうしても遅くなる。酒気帯び運転は、判断力が低下し事故を起こしやすくなる。また身を守るのも遅れるためけがにつながりやすく、重大な事故となる恐れが高まる。
県警で飲酒運転の取り締まりなどに当たってきた担当者によると、初めて自動車の酒気帯び運転などをして、警察に発見されることはまれだ。摘発されず、事故にも遭わないことで、何度も繰り返すようになってしまっていることがあるという。これは自転車でも同じことが考えられるだろう。
「自分は大丈夫」「これまで事故にならなかった」という慢心や過信は自分だけでなく、他の人の命すら奪いかねない。事故を起こしてから後悔しても、取り返しがつかないことを肝に銘じたい。
県警によると、県内では施行後の1週間で、ながら運転1件、酒気帯び運転で5件の摘発があった。これから年末にかけては、忘年会などで飲酒の機会が増える人もいるだろう。家族や職場などで、ながら運転や酒気帯び運転をしないよう呼びかけることで、新たなルールを一人一人に浸透させていくことが重要だ。
酒を提供する飲食店などでは、自動車での来店者への確認が広まりつつある。自転車での来店者についても、ながら運転禁止を含めて注意を促してほしい。