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理事長交代で反社と再び癒着 いわき信組、資金は「無断借名融資」などで捻出

2025/11/02 07:00

不正融資でつくった資金を反社会的勢力に提供していたことが明らかになったいわき信用組合

 いわき信用組合(いわき市)が不正融資で捻出した資金を反社会的勢力に提供していた問題で、反社会的勢力と認められる人物への資金提供は1990年代に始まりその後いったん途絶えたが、江尻次郎元会長が理事長に就任後再び資金提供を再開したとみられることが、特別調査委員会の調査報告書で分かった。

「暴排」から取り残される

 報告書によると、反社会的勢力と認められる人物は94年、信組と暴力団関係者との癒着などを糾弾する街宣活動をやめさせる解決料の名目で3億円超の現金を要求。当時の鈴木勇夫理事長らはこれに応じた。

 鈴木氏は2001年までの在任期間中、この人物に同様の名目で数回にわたり計数億円を支払ったことがうかがわれるという。資金は信組内部の積立金の切り崩しや、鈴木氏の親交者らの協力を得て水増し融資をすることで捻出していた。

 01年、鈴木氏の後任として四家栄安氏が理事長に就任。調査では04年までの理事長在任期間中、四家氏の判断で反社会的勢力への資金提供が行われたことをうかがわせる資料や供述はなかった。

 だが04年、四家氏の急逝に伴い江尻氏が理事長に就くと、信組は再び江尻氏らを標的とする街宣活動を受けるようになり、反社会的勢力の人物からの不当要求も再開したという。

 特別調査委は、江尻氏が04~16年の約13年間に、預金者に無断で口座を偽造し架空融資を行う「無断借名融資」などで捻出した約10億円を反社会的勢力に支払ったと認定。97年の商法改正で利益供与罪などの罰則が強化され、07年には法務省が「企業暴排指針」を出すなど、企業活動から反社会的勢力を排除する取り組みが急進していた時代背景を説明した上で、信組が「反社会的勢力との関係断絶に向けた取り組みが進む時代の流れ」から取り残され、関係を続けたと指摘した。

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