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【ストーカーという病】SNS閲覧やめられず 自覚なく高まる執着心

2025/11/07 12:30

スマートフォンやSNSの普及で便利になる一方、発信する情報には細心の注意が求められる

 「俺、ストーカーなのかも」。大阪府に住む20代男性はストーカーの自覚がないまま、好意を寄せる女性や、その友人の交流サイト(SNS)を介して、女性への付きまとい行為に及んだ。良くないとは思っていたが、欲求を抑えられなかった。当時を振り返り「必要以上の監視をしてしまった」と後悔の念を口にした。

 女性は、インスタグラムの誰が自分の投稿を閲覧したかを確認できる機能から男性が執拗(しつよう)に女性の周囲を探っていることに気付き、警戒したとみられる。男性が女性の「TikTok(ティックトック)」のアカウントを発見してフォローすると、ブロックされた。「何でやろ」。男性には理解できなかった。

 後日、男性は女性の友人の投稿から、女性が飲食店に滞在中と知った。「居ても立ってもいられなかった」と午前5時に家を飛び出し、店の前で女性を待ち伏せした。女性には気付かれなかったが、家族や友人から「ストーカー行為だからやめた方がいい」と諭された。

 それでも「SNSを見るぐらいなら大丈夫」と思い、閲覧を続け女性の行動を追った。しかし、女性から全てのSNSをブロックされ「これ以上監視するのをやめてください。今後一切関わらないでください」とメッセージを受け取った。女性からはっきりと拒絶され、ようやく自身がストーカー行為をしていることに気付いた。

 動機の90%「好意」

 県警によると、本県で昨年認知した203件のストーカー事案のうち、201件は「好意の感情」や「好意が満たされず怨恨(えんこん)の感情」が動機だった。「好意の感情」を動機とする事案は過去5年間、継続して全体の90%を超える。

 加害者の更生支援に取り組む任意団体「ストーカー・リカバリー・サポート」の守屋秀勝代表は「自分がストーカーだと自覚させることが重要だ」と強調する。ストーカーには「相手が振り向いてくれなかった」との「被害者」意識があるとし「行為の責任が相手ではなく、自分にあると気付かせる必要がある」と話す。

 この男性のケースでは拒絶されたことで踏みとどまったが、守屋代表は「被害者がストーカーとの連絡手段を完全に断つことは危険」と訴える。SNSを全てブロックするなどして対応すると「ストーカーは見捨てられる恐怖におびえている。加害者が、被害者を殺してでも手に入れたいという極端な思考に陥る恐れがある」と警鐘を鳴らした。

      ◇

 ネットストーカー インターネット上で特定の個人に対して執拗(しつよう)に付きまとうなどの行為を繰り返す人。ネット上から実世界のストーカー行為に移行する例もある。総務省は被害に遭った時の対処法として、SNSなどに書き込まれた脅迫や誹謗(ひぼう)中傷のメッセージを証拠として保存することや、住所を特定されるなどした場合は警察に相談することを呼びかける。

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