• X
  • facebook
  • line

値下げ「なるべく早く」 ガソリン補助金の増額開始

2025/11/14 09:30

車に給油する従業員。県内でも徐々に店頭価格が下がる見通しだ=13日午後、福島市

 年末のガソリン税の暫定税率廃止に向け、13日から政府の補助金が1リットル当たり5円増えて15円となった。福島県内でも徐々に店頭価格が値下がりする見通しで、利用者は歓迎する一方、ガソリンスタンド(GS)を運営する事業者からは、在庫分の処理に伴う赤字やガソリン価格の競争激化を懸念する声もある。

 県石油商業組合の調査によると、13日に店頭価格に値下げを反映できたのは加盟するGS数(約540カ所)の1割未満だった。以前の価格で仕入れた在庫分を売り切らないうちに値下げすると、赤字が膨らんでしまうためだ。

 福島市でGS4店舗を展開する西形商店は15日からの値下げを決めた。在庫は残っているというが、企業努力で価格に反映するという。担当者は「正直(1リットル当たり)5円はかなり大きい。それでもお客さまが安くなることを楽しみにしているので、少しでも早く還元していきたい」と話した。

 在庫分を値下げするのは小規模のGSには負担が重く、経営に大きく関わる可能性があるという。会津坂下町でGSを運営する渡部利枝さん(43)は「大手と違って小規模のガソリンスタンドでは補助金の効果は徐々に表れる」とし、店頭価格が抑えられるまで丁寧なサービスで応えていくとした。いわき市などでGSを展開する会社の担当者は、補助金により他社との値下げ競争が始まる可能性もあるとし、担当者は「競争が激しくなるかどうかは、来週にならないと分からない」と不安そうに語った。

 一方、相次ぐ物価高騰を受け、利用者は早期の値下げを希望する。普段から安いGSを利用しているという、いわき市の住民(69)は「車は生活に欠かせない。少しでもガソリン価格が下がってほしい」と望む。福島市の公務員(47)は「週末は車で遠出したいので、ガソリンが安くなれば足を伸ばしやすくなる。紅葉が楽しめる観光シーズンのため、他県からの観光客の増加も見込まれるのではないか」と期待する。

 ただ、同組合によると、消費者が安くなるのを見込んだ買い控えで価格への反映の遅れも懸念される。GS側が安く購入しようと注文が殺到し、希望通りの入荷が見込めないケースも考えられるという。同組合は17日以降、値下げして販売するGSが増えていくとみている。担当者は「利用者には一刻も早く安い値段で購入してほしいが、さまざまな事情がある。長い目で見てほしい」と理解を求めた。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line