義肢や装具のメンテナンスを担う義肢装具士は、パラリンピックに欠かせない存在だ。神戸医療福祉専門学校三田校(兵庫県三田市)の教員唐内健太さん(37)は、技術者として2021年東京大会に参加した。パリで同じ立場を担う人々に「チームで柔軟に取り組んで」と期待を込める。
高校生の時、足のない人が義足で走る様子をテレビで見て感動し、義肢装具士を志した。初めて作った義足で、足がない人が立った時の興奮はいまだに忘れられない。「自分の仕事が目の前で評価されることが醍醐味だ」と魅力を語る。
東京大会では車いすや義肢のメンテナンスに携わった。集まった技術者は24カ国の約100人。約20人が詰め、差し迫る時間と緊張感の中、次々に入る依頼に対応した。
印象的だったのは、先進国と途上国の装具の「差」だ。専属サポーターが同行するトップアスリートがいる一方で、部品が朽ち果てた車いすを使い続ける途上国の選手も。「貧富の差」を目の当たりにした。
「経験を学生に伝えるのが自分の役割」。教え子たちにバトンをつなぐ。