• X
  • facebook
  • line

にぼしいわし『THE W』の難しさを熱弁 優勝めぐる“劇的な秘話”と意外すぎるコンビ結成エピソードも【オリコンライターズ】

2025/12/07 18:00

  • エンタメ総合
7日放送『ライターズ!』に出演するにぼしいわし

 顔出しNGの敏腕ライターたちが、いま注目のタレントの素顔に迫る『ライターズ!』(日本テレビ系)。7日(深1:30)は、女性芸人の中から一番面白い“笑いの女王”を決定する『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』(12月13日 後7:00)から、昨年王者のにぼしいわし(香空にぼし、伽説いわし)が登場する。

【集合カット】今年も…個性豊かなファイナリストが集結

 エントリー数903組の中から、フリー芸人として王者に輝いてから1年。今の心境を向けると、いわしが「優勝前は一切テレビに出てなかったんで、優勝後初めてテレビ局に入ったりとか。大物の芸能人の人と会ったりとかして、まだ全然浮かれています(笑)。あと3年ぐらいないと慣れないと思います」とふっと笑みを向けた。

■“ご褒美”で感じた「女王の仕事やなぁ」 個人事務所はにぼし社長も…いわしがため息

 そんな中、新しい王者がまもなく誕生するが、いわしは笑いを交えてまくし立てる。「焦っております。これまでの女王のみなさんは、それまでもけっこうテレビに出ていた方が多かったと思うんですよ。だから、ウチらが本当に女王なんですよ。しかも事務所にも入ってなかったんで、もう本当にまっさらな女王なんで、そらまだ浮かれてますよね(笑)」。優勝後には、日本テレビ系の番組出演がかなう“ご褒美”もあったが、印象に残った番組を聞くと、2人で答えを合わせようと「せーの!」で言い合ったが、互いに別々の番組を挙げていた。

 いわし「『満天☆青空レストラン』で、北海道の今金町に伺って、ジャガイモを食べたんですけど。信じられない量のじゃがいも食べさしてもらいました(笑)。なんかあの手この手で食べさせてくださって。ロケしてんな、これ女王の仕事やなぁって思いました」

 にぼし「『世界まる見え!テレビ特捜部』に出させてもらった時に、オープニングでビートたけしさんからスモークをかけられるというくだりがあったんですけど、思っていた以上にしつこくって(笑)。勢いもすごかったんですけど、これがビートたけしかって思いました(笑)。体感20分くらいでした」

 いわし「芸人してるなーって、めっちゃうれしかったです。さんまさんとかたけしさんって、テレビで見てるまんますぎて、まだ画面を通して見ている感じで、逆に緊張しなかったですね」

 優勝賞金の使い道は、個人事務所『株式会社A-dashi(えぇだし)』の資本金。にぼしが社長に就任したが、いわしがその経緯を語っていく中で、ため息をついた。「フリー時代から2人でずっとやっているんですけど、ほぼ私がやっていたんですよ。ネタも書くし、請求書とか、いろいろなスケジュールも全部やっていて。(相方は)本当に何もしてなくて。だから、社長だけやらしてみようって。ただ責任負うのとかめちゃくちゃ嫌がるので、たぶんやらんやろうなって。でも、スタッフの方とも『ちょっと1回聞いてみましょう』ということになったので、『社長やる?』って聞いたら『うん』って返ってきて(笑)。後から聞いたら、社長って響きがかっこよかったからということで…」。

 いわしが「資本金の話したと思うんですけど、我々100万ぐらいで作ったんで、本来は半分ずつぐらいで出すじゃないですか。どうしようって会議した時に(相方から)『ちょっと資本金の手出しを値切らしてほしい』と言われて(笑)。結局(自分が)71万出して(相方が)29万。やったら、ギャラも7:3でええやん(笑)」と訴えると、にぼしがほんわかとした空気で「やっぱりお金持つとちょっとケチになっちゃって、シンプルに出したくないってなっちゃって」と笑わせた。

■いわし念願の“書籍化”裏に劇的な秘話が 『THE W』の見どころは“精神力”

 『THE W』がきっかけで、いわしは夢がかなったこともあり、劇的な展開を打ち明けた。「KADOKAWAさんから『しょぼくれおかたづけ』という本を出します!実は、これも『THE W』優勝しないと実現しなかったことで。出版社の方が、昨年の『THE W』をずっと見てくださっていて、これはもうにぼしいわしが優勝だって思ってくださったようで。放送を見ながら(連載オファーの)文面を打っていたらしいんですよ。それで、優勝が決まった瞬間にエンターキー押して、メールを送ってくれたらしいんです。それで、私も『ぜひ連載やらせてください』ということで、1個目のエッセイは『THE W』に優勝した時の話から入ります」。さらに『THE W』ドリームをしみじみと口にする。

 「優勝のテープがひらひらと舞っている間、私は何を考えていたのかとか。いろんな気持ちを抱えながら優勝したなって思っていて。これまで全然テレビに出てなかったので、優勝後のテレビ出演が不安で不安で。できるんかな、大丈夫なんかなみたいな葛藤をちゃんと書かしていただいたら、連載中から同じ思いを持った方とか、会社を頑張るぞみたいな方とかに共感を得て、好評だったようで、本にもしましょうと。そして、帯がなんと朝井リョウさんで…。震えました。ダメ元でお願いしたら実現しました。だから『THE W』って、本当に夢があると思います。1歩1歩、なんか着実に近づけるし、なんかやったこともちゃんとね、評価されます」

 今年は過去最多となる1044組がエントリー。ファイナリストは、エルフ(4年連続4度目)、紺野ぶるま(2年連続5度目)、電気ジュース(初進出)、とんでもあや(初進出)、ニッチェ(7年ぶり3度目)、パンツ万博(初進出)、もめんと(初進出)、ヤメピ(初進出)。5組が決勝初進出というフレッシュな顔ぶれとなった。優勝という最高の結果を叩き出したにぼしいわしが考える『THE W』の戦い方とは。

 いわし「準決勝と決勝が違いすぎて、ほんとに難しいんですよ。準決勝のお客さん層と決勝のお客さん層って、どの賞レースでも違うんですけど、『THE W』が一番違いますね。準決勝でウケないと決勝に行けないし、準決勝でウケたネタが決勝で必ずやはまるとは限らないし。漫才だけ、コントだけとかだったら大体読めたりするんですけど、前がコントで爆発したら、自分たちのおとなしい漫才はどうなんだ…とか。最後の『もうええわ!ありがとうございました』の時点で優勝だなって思わせるような右肩上がりのネタを1年間作って。それは頑張りました。そういう意味でも見てて面白い大会というか、漫画みたいなんですよ。コロコロ変わるから」

 そんな『THE W』の見どころについて、いわしは「精神力」と紹介する。「ホンマにアツいんですよ。決勝が終わると、みんなで、楽屋で『ふぅー』ってなって。男の汗かっこいいみたいのはあると思うんですけど、女の汗もまたちょっと違ってかっこいいんですよ。戦い終わった女の哀愁ってとんでもないものなんで、そこにすごく精神力をつぎ込んで、この大会1戦1戦大事にしてるなっていうのがわかると思う。そこに注目してほしいです」。

■NSCで挫折し「お笑いを一度やめた」 一念発起で決意の年に『THE W』初決勝

 番組では、コンビ結成の経緯についても振り返る一幕も。いわしが当時を振り返る。「コンビ結成が2013年。我々は吉本の養成所NSC出身なんですけど、もともと高校の同級生でずっと友達で。クラスの男子に対抗してお笑いをし始めたっていう…まれな由来です(笑)。クラスの、いわゆる1軍とかには入れてなかったんで『陽キャ』に嫉妬してたんですよ。そういう陽キャの男子とかが文化祭で漫才しているのを見て『うちらの方がおもろいちゃうん?』みたいな感じで、ちょっとやり出したっていう。それで、『ハイスクールマンザイ』に出るんですけど、同じ年に霜降り明星さんが(当時はそれぞれ別の相方と)出ていたんです。面白すぎて、学校だけで調子乗ってんの恥ずかしいなって思って、NSCに入ることを決めました」。

 NSCに入ってからも、強者たちが待ち受けていた。「ここでもまた挫折を味わいまして。NSCでは、ゆりやんレトリィバァという、とんでもない逸材に出会うんです。こういう人が売れていくんだっていうのを感じました。ゆりやん以外にも、ガンバレルーヤ、熊元プロレス、からし蓮根とか、男女ともに豊作の年だった。早めに挫折したので、お笑いを一度、4年くらいやめていたんです」。お笑いをやめていた間、2人の関係性はどんなものだったのか。いわしが、これまた不思議な関係を語っていった。「(にぼしが)NSCの入学金のお金を払えなかったんで、私と私のおばあちゃんで貸していまして。それを毎月3000円ずつ返しに、なんばの喫茶店に持ってきて。『きょうもありがとう。喫茶店のコーヒー代は、私が持つから』みたいなことをやっていて(笑)。そんななかで『M-1グランプリ』だけは、記念受験として、お笑いをやめてからも毎年出ていたんです。それで、一度ちょっといい結果になりそうで、じゃあ社会人やりながら、お笑いやろうかってなって、続けていたんですけど、社会人の時間が忙しいし、お笑い全然できひんからっていうことで、2019年の3月に仕事を辞めて、お笑い1本でやろうって言った。その年に、初めて『THE W』の決勝に行けたんですよ。もう調子乗るしかないじゃないですか(笑)」。

 そこから上京し2年以内に『THE W』優勝という最高の結果を出した2人。王者として歩んだ2025年を漢字一文字で振り返ってもらうと、対照的な意見が返ってきた。

 いわし「わたしは『文』です。この年にエッセイ書いてよかったなってめっちゃ思うんです。初めての経験が多すぎて、自分の脳内では処理できないスピードで番組に出たりとか、アンケート書いたりとかしていて、頭パンクしてたんですよ。でも、エッセイを書くことによって、だんだんと整理されてきたり、他の芸人さんやスタッフさんが『いわしは、こんなこと考えてんねや』がけっこう伝わりやすくて。助けてもらったり、アドバイスもらったりして、今年マジで書いてよかったなって思いました。今年優勝した方もぜひ文章を書いてほしい!」

 にぼし「わたしは『毛』です。今年1年落ちたり上がったりを繰り返してまして。髪の毛と精神のバランスが(リンクする)。初めてテレビに出て、髪の毛をキレイにしていただいたら、心も変わる感じを初めて実感したんですよ。身なりを綺麗にして人前に出ることが大切なんやなって、わかった」

 いわし「33歳や!そんなん、12~13歳でみんなやんねや(笑)!」

 にぼし「おもしろいこと言おうっていう気持ちになるので、毛は大事です!今年、人生で初めて携帯用くしを買ったんですよ(笑)」

(取材・文/ファンタスティック ムラオカ)
※取材の模様は、7日放送の『ライターズ!』(日本テレビ 日曜深夜1:30)でもご覧いただけます。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line