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漢字の世界16

 

四字熟語
【2006.2.2】
朝三暮四(ちょうさんぼし)

目先についだまされること

 人をだましたり、ごまかしたりするときに用いる。

 猿廻(まわ)しの親方が、食糧のとちの実が少なくなったので、「これからは、朝3つ、夕方に4つにする」と言ったところ、猿たちが大いに怒った。そこで今度は、「朝4つ、夕方に3つにする」と言うと、猿たちは喜んだ。(『列子(れつし)』に見える話)

 どちらも同じ糧なのだが、目先の多い方に、ついだまされたのである。

 これに類することは、実社会によくある。たとえば給料を支給する場合、先にまとめてポンと出すと、貰(もら)う方は何だか儲(もうか)った気がする。

 もとは猿をだます話だが、一定しないものをやりくりする、というように転化して用いられる。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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