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漢字の世界18

 

四字熟語
【2006.2.4】
南船北馬(なんせんほくば)

各地を忙しく駆け回ること

 南の方では船で、北の方では馬で旅をする。転じて、あちらこちらと忙しく駆け回ること。

 これは、中国の地勢から生まれたことばである。中国の南方は川が多いので船で旅をする。世界で1、2を争う大きな川、揚子江(ようすこう)(中国では長江(ちょうこう)という)を中心に、その支流、洞庭湖(どうていこ)をはじめ大小の湖沼、縦横にめぐらされた運河など、今でも船が重要な交通手段となっている。

 それに引きかえ、北方では雨が少ないので、黄河(こうが)のような大川でも水量が落ちる(冬は結氷もする)ため、船は使えず馬で旅をする。

 このことばは、直接の典故はなく、日本人の造語といわれている。日本とは大いに異なる地勢に触れて、ふと口から出たのだろう。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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