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漢字の世界21

 

四字熟語
【2006.2.8】
西施之顰(せいしのひそみ)

他人の優れた仕事をまねる

 「呉越の興亡」を彩(いろど)ったのが、絶世の美女西施(せいし)の物語である。

 西施は越の村娘であったが、谷川で紗(さ)(うす絹)を洗っていたのを、越王勾踐(こうせん)に見染められ愛人となった。

 美しい西施は持病の胸の痛みのため、手を胸に当てて顔を顰(ひそ)め(しかめ)る。これもまた美しいので男がチヤホヤする。それを見た隣村の不美人東施(とうし)は、「私も」と顔を顰めたら、男たちは逃げ出した、と。

 不美人が、柄(がら)でもないのに美人の真似(まね)をする、ということから、他人の優れた仕事にならったり、業績にあやかったりすることを、「西施の顰に倣(なら)う」という。謙遜(けんそん)の語である。

 越王勾踐は西施を呉王夫差(ふさ)に贈り、魂をとろかせて、その隙(すき)に軍備を整えた。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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