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漢字の世界76

 

四字熟語
【2006.04.15】
塞翁之馬(さいおうが(の)うま)

禍と福はくるくる変わる

 人生は禍(わざわい)と福(さいわい)が決まっていない。禍が来たかと思えば福が来る。「禍福(かふく)はあざなえる縄のごとし」と同じ。次の話に基づく。

 国境近くに術使いがいた。飼っていた馬が逃げたので、人が慰めると、いや禍とは限らないと答える。果たしてその馬が胡(えびす)の駿馬を引き連れ帰って来た。人がおめでとうを言うと、いや福とは限らないと答える。

 良い馬が来たので、その息子が喜んで乗るうち、落馬して足を折った。人がおくやみに来ると、いや禍とは限らないと答える。やがて胡と戦争が始まり、若者は徴兵で10人中9人は死んだ。この息子は足を折ったお蔭(かげ)で、父子ともども無事であった。―このように、禍福はくるくる定めないもの、という話。(淮南子(えなんじ)) 

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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