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漢字の世界80

 

四字熟語
【2006.04.20】
茶煙鬢糸(ちゃえんびんし)

老いて青春の思い出を回想

 年老いて、青春の思い出にふけること。晩唐の杜牧(とぼく)の詩から出た語。「茶煙鬢糸の感」という。

 きょうは24節気の「穀雨(こくう)」(穀物によい雨が降る気節)に当たる。このころに摘む茶を「雨前茶うぜんちゃ」といって珍重し、穀雨以後は「雨後茶」という。

 そこで茶に因ちなむ語を取り上げてみた。杜牧の詩は次のようなものである。

 禅院に題す 杜牧

 船一棹百分空(こうせんいっとうひゃくぶんむな)し

 10歳の青春 公(こう)に負(そむ)かず

 今日鬢糸 禅榻とうの畔(ほとり)

 茶煙軽く魲あがる落花の風

(大杯(おおさかずき)に酒のみほして、したいほうだい青春10年、今や白髪(はくはつ) 禅寺(ぜんでら)の前、茶を煎(い)る煙 花びらと舞う)

 禅寺の榻(いす)に座り、茶の煙と花びらを目で追う老いた詩人。何とも渋くほろ苦い。 

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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