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漢字の世界103

 

 

四字熟語
【2006.05.18】
管鮑之交(かんぽうのまじわり)

きわめて親密な交わり

 管仲(かんちゅう)と鮑叔(ほうしゅく)との交り。転じて、きわめて親密な交わりをいう。

 二人は春秋時代の斉(せい)の国の人(紀元前七世紀)。『列子』によると、

 ―管仲は若いころ貧乏であった。鮑叔と一緒に商売をして、自分の方が多く利益を取ったが、鮑叔は管仲が貧しいから、と理解した。戦争に三度行って三度とも逃げ帰ったが、鮑叔は管仲には老いた親がいるのだから、と管仲を卑怯(ひきょう)と思わなかった。このようによく理解してくれた鮑叔に対し、後に大政治家となった管仲は「我を生む者は父母だが、我を知る者は鮑叔なり」と深く感謝した。

 唐の杜甫は、「君見ずや管鮑貧時(ひんじ)の交りを、この道今人(こんじん)棄てて土(つち)の如(ごと)し」と、世の人情の薄さを歎(なげ)き詠(うた)う。 

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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