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漢字の世界128

 

 

四字熟語
【2006.06.16】
元軽白俗(げんけいはくぞく)

わかりやすい表現への悪口

 前回の白楽天の元眞(げんじん)に寄せた手紙に関連してこの語を取り上げる。

 これは「元白軽俗(げんぱくけいぞく)」を互い違いに言ったもの(互文(ごぶん))。元眞と白楽天(名は居易(きょい))の詩は薄っぺらで俗っぽい、ということ。悪口である。

 元眞と白居易は科挙(かきょ)(官吏登用試験)に及第した同期生で、文学方面でも手を取りあって革新運動を起こした(元白体(げんぱくたい)といわれる)。

 文学はやさしい表現を用い、誰にでもわかるものでなければならない、というのが元白の主張であり、それを実践してみせた。白の「長恨歌(ちょうごんか)」(玄宗(げんそう)と楊貴妃(ようきひ)の恋物語)などがよい例だ。

 それに対して、これはあまりにも低俗だ、という批判から「元軽白俗」の語が生まれたのである。だが、歴史は元白の勝(かち)を証明した。 

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 

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