「歯を切(き)り腕を扼(やく)す」と読む。はげしく憤るさま。転じて非常に悔くやしがるようすを喩(たと)える。
『史記』に見える語。切歯は、バリバリと歯がみをすること。扼腕は益(やく)腕とも書く。腕(うで)を扼(おさ)える。左手で強く右腕をおさえること。いきごむようす。
荊軻(けいか)が秦(しん)王を暗殺しに出かける時、秦の亡命将軍樊於期(はんおき)の首を必要とした。これを土産(みやげ)に秦王に面会するためである。荊軻が「あなたの首をください」と言うと、将軍は腕を扼し「私は日夜切歯しておりました」と言い、自分の首を切った。 秦に仇(あだ)を討つため喜んで首を差し出したのだ。
このように、きわめて激しい感情を表す動作である。今では勝負で負けて悔やしがる時によく用いる。
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