空中に浮かんで見える高い建物(たてもの)。蜃気楼(しんきろう)のこと。根拠のない話のたとえ。
『夢渓筆談(むけいひつだん)』(宋の沈括(しんかつ)の随筆集)に、「登州(とうしゅう)(山東省の突端)は四面海に臨み、春夏の時、遙(はる)かに空際くうさいに城市楼台の状(じょう)あるを見る(水平線に都市や高楼のさまが見える)、土人これを海市(かいし)と謂(い)う(土地の人はこれを海の町と呼ぶ)」とある。
日本の富山県の魚津(うおつ)でも見られるが、山東半島の先の方では昔から蜃気楼がよく現れ、「空中楼閣」の語が生まれた。
これが転じて、現実的ではない話、空想的な文章の喩えに用いられる。極端には、わざと誇張した虚構をつらね、事実ではないものを事実らしく見せて文章を書くのを、「空中楼閣法」と呼ぶようにもなった。
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