穏やかで誠実なこと。
『礼記(らいき)』に「温柔敦厚は詩の教えなり」とある。『詩経』の詩は人に温柔敦厚ということを教えている、という意味である。注釈によると「温」は「顔色温潤(おんじゅん)」(顔つきが穏やか)、「柔」は「情性和柔(じょうせいわじゅう)」(心持ちが和(なご)やか)とある。
「敦厚」は、人情が厚いこと。「敦」も「厚」も、あつい。俗にいえば、まじめで親切。
孔子は『詩経』の詩を「楽しみて淫(いん)せず、哀しみて傷(やぶ)らず」(楽しんでも度を過ぎない、悲しんでもひどく歎かない)と評している。『詩経』の詩を読むと、穏やかで誠実になるということだ。
人柄でいえば「温厚篤実」(239回)と近く、より上品で奥ゆかしい趣(おもむき)がある。最高の人物評価と言える。
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