沈みかけた月が屋根を照らす。親しい友を思う心の切なることをいう。
「落月」は、沈みかけた月。「屋梁」は屋根。
杜甫の「李白を夢む」という詩に「落月屋梁に満ち、猶(な)お顔色を照らすかと疑う」(沈みかけの月が屋根に光を注ぎ、李白の顔を照らし出すかのよう)と詠(うた)う。
杜甫と李白は仲良く付き合っていたが、戦乱で消息が途絶えた。都を落ちのびて田舎暮らしをしていた杜甫の耳に、李白が反乱軍に捲まきこまれ、官軍に捕らえられて罪人になった、あるいは死んでいるかもしれないという噂(うわさ)が聞こえた。
李白を心配した杜甫は夢を見る。夢の中で李白が現れ、その顔が月に照らされた場面がこの句。親友李白を思う鬼気迫る情を見る。
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