この世でたった一人。一人ぼっちで身寄りがない。
「天涯」は、空の果て。ここでは遠い空の果てまで―この広い世の中、の意。そんな広い世の中にたった一人、と「孤独」を強調したもの。杜甫の詩に「天涯の゚カ涙ているい一身遥はるか」(天の涯はてに一人遥かに離れて涙にくれている)と詠うたう。
「孤独」は、『孟子』に次のように言う。「老いて妻無きを鰥かんといい、老いて夫無きを寡かといい、老いて子無きを独といい、幼おさなくして父無きを孤という」と。
孟子はこの「鰥寡孤独かんかこどく」の四者を「天下の窮民きゅうみん」と名付けている。孟子によると「孤独」は「父の無い子、子の無い老人」をいうことになるが、一般には広く何の身寄りも係累けいるいも無い状態を「天涯孤独」と称する。
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