欲張らずに、ほどほどに生きる。「足(た)るを知り分(ぶん)に安(やす)んず」と読む。
「知足」は『老子』の言葉。「自(みずか)ら勝つ者は強し、足るを知る者は富む」(自分にうち勝つ者は強い、満足することを知っている者は豊かである)と言い、また「足るを知れば辱められず、止(とど)まるを知れば殆(あやう)からず」(満足することを知っていれば恥をかかない、限度を知っていれば危険はない)とも言う。
人の欲はきりがない。そこそこに満たされればそれでよい、と老子は戒める。
「安分」には特に典故はない。近い語として「守分」(分を守る)が、隋の王通の『文中子』に見える。
欲望を抑え、身に合った暮らしをするのが、生きていく上での”知恵”だ。
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