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漢字の世界339

 

【2007.2.26】
九牛一毛(きゅうぎゅうのいちもう)

多数の中の小部分

 多くのものの中の、ごく小さな部分。物の数にも入らないこと。

 九頭の牛の中の一本の毛、という意味で、多数の中の小部分をたとえる。

 出典は『史記』。司馬遷しばせんが友人に当てた手紙に「假令たとい僕ぼく法に伏し誅ちゅうを受くるとも、九牛の一毛を亡うしなうが若ごとし」(仮に私が法によって処刑されても、多くの牛が一本の毛を失ったようなもので、取るに足りないことです)と言っている。

 『史記』の作者司馬遷は武帝の怒りに触れて罰せられた。その時の言葉。私のような者は存在価値がない、と卑下したもの。

 罰に耐え、歯を食いしばって『史記』を完成させたことはよく知られる。

 「九牛の毛」とも言う。いずれにせよ小さな存在だ。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 



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