「靴(くつ)を隔(へだ)てて痒(かゆ)きを掻(か)く」と読む。靴の上から足のかゆい所を掻く、の意。痒は癢(よう)と同じ。むずかゆいこと。
靴の上からではうまく掻けない、かゆい所に手がとどかないということから、もどかしい、はがゆいの意となる。
宋の阮閲(げんえつ)の『詩話総亀(しわそうき)』(漢魏六朝から宋までの詩話の総集)に、「詩の題を著(つ)けざるは、靴を隔てて痒きを掻くが如(ごと)し」とある。
この場合、題のない詩は、詩の真意や作者の意図に迫りにくい、というもどかしさを表現したものだろう。
たとえば、外国人とのやりとりの場面で、うまく言葉が通じないため、いまひとつ意志が伝わらないようなとき、そのもどかしい気持ちを「隔靴掻痒の感がある」などと表現する。
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