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漢字の世界350

 

【2007.3.10】
気韻生動(きいんせいどう)

品格と躍動ある書画や文章

 文章や書画が生き生きとして品格が高いこと。

 明の陶宋儀(とうそうぎ)の『輟耕録(てっこうろく)』に画の六法の一として挙げてある。韻とは、品(ひん)のこと。

 「気韻」は画ばかりでなく文章にもいう。宋の陳善(ちんぜん)の『捫蝨(もんしつ)新語』に「文章は気を以(もっ)て主(しゅ)と為(な)す、気韻足らざれば、辞藻(じそう)有りと雖いえども佳作に非(あら)ざるなり」(文章には”気”が大事だ。気の品格が足りないと、表現が巧みでも、それは佳作とは言えない)という。

 書でいえば王羲之(おうぎし)の『蘭亭叙(らんていじょ)』とか、詩でいえば李白の「将進酒(しょうしんしゅ)(将(まさ)に酒を進めんとす)」など、技巧もさることながら、生き生きと躍動しておのずから品格が表れている。

 技術を突き抜けたところに、その人の根底にある気品が自然に滲(にじ)み出るのだ。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 



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