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漢字の世界366

 

【2007.3.30】
一朝一夕(いっちょういっせき)

非常に短い時間のたとえ

 ひと朝、ひと晩。非常に短い時間をたとえる。

 『易経』の注に見える語。「臣其(そ)の君を弑(しい)す、子其の父を弑するは、一朝一夕の故に非ず、其の由(よ)って来たる所は漸(ぜん)なり」(家来が君主を殺したり、子が父を殺したりするのは短い間に発生する出来事ではない。起こる原因があってだんだんにそうなったのである)と。

 近ごろ、子が親を殺す事件がよく起こるが、たしかにこれはある朝突然に起こることではない。複雑な家庭の事情があって、その結果として起こるものだ。

 このようにこの語も、「一朝一夕のことではない」と、否定の表現で用いられることが多い。
 「いじめ」など、教育の荒廃が叫ばれるが、これも一朝一夕には解決できない。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 



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