言葉で言えないほどひどい。もってのほか。道断は、同断(どうだん)とも書く。
仏教の語。『維摩経(ゆいまぎょう)』に「一切言語道断なり」とある。「言語」をゴンゴと読むのは、仏教語の常として呉音(ごおん)によったもの。
この語も元は、言葉で述べる方法がないほど奥深い真理、という意味であったが(『維摩経』の語もその意味)、今日では、言葉で述べられないほどひどいこと、のように悪い意味に用いる。
たとえば、「学生の分際(ぶんざい)で夜どおし遊び呆(ほう)けているとは、言語道断の振る舞いなり」と言えば、きつくとがめる調子になる。
近ごろは新聞紙上を賑(にぎ)わせて、株の不正取引やら絵の剽窃(ひょうせつ)やらと、言語道断の事件が多いことである。
|