軽いかわごろも(求)(※1)と肥えた馬。富貴(ふうき)なさま。上流階級の装(よそお)い。「求」は、今でいう革(かわ)のジャンパー。軽くて暖(あたた)かい。
出典は『論語』。「子曰(いわ)く、赤(せき)(弟子の名)の斉(せい)に適(ゆ)くや、肥馬に乗り、軽求を衣(き)る」と。赤が隣国の斉に使いに出るときの様子をこのように述べた。赤(呼び名は子華(しか))は生活が豊かだというのである。
着る物と乗り物で、生活の様子や身分を表す。たとえば、杜甫(とほ)の詩に「丸(※2)袴(がんこ)餓死せず」と詠う。丸(きぬ)の袴(ズボン)をはいている者(=貴族)は餓(う)え死にしたためしがない、と。
また自分のことを「驢(ろ)に騎(の)る三十載(さい)」と詠う。驢はロバ。金持ちは肥馬に乗るが、自分のような貧乏人はロバに乗るというのだ。
※1「求」→「求」の下が「衣」
※2「丸」→「丸」はいとへん
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