前回に関連して、夫婦仲の良いことを喩(たと)える語を取り上げる。
琴と瑟(大きい琴)の音がよく調和するように、夫婦の仲がよいこと。「琴瑟調和」ともいう。
『詩経』に「妻子好合(こうごう)し、琴瑟を鼓(こ)する(弾(ひ)く)が如(ごと)し」(妻や子が睦(むつ)み合い、琴と瑟とを合わせ弾くように仲がよい)とある。
これは妻子についての喩えだが、「窈窕(ようちょう)たる淑女(しゅくじょ)は琴瑟もて之(これ)を友(とも)とす」(しとやかな淑(よ)き女(むすめ)は、琴と瑟とを奏(かな)でつつ友〈妻〉となる)という句もある。これは夫婦の仲を喩える。
琴はふつう7絃、瑟は25絃で合奏する。今では夫婦仲のよいのをいう語になった。「琴瑟不調(調(ととの)わず)」というと、夫婦が仲違(なかたが)いすることである。
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