いつまでも進歩しない者。昔のままの無学な者。
『三国志』に見える呂蒙(りょもう)の故事に基づく。呉の魯粛(ろしゅく)が呂蒙に向かって、「吾胃(われおも)えらく、大弟(たいてい)(蒙のこと)は但(た)だ武略あるのみ(単に軍事の才だけの人)と。今は学識英博(がくしきえいはく)(学問が優れ知識が広い)、復(ま)た呉下の阿蒙に非ず(呉にいたころの蒙さんとは違う)」と言った。
阿蒙の「阿」は、人を呼ぶときの「…ちゃん」とか「…さん」に当たる。はじめ孫権が呂蒙に学問を勧めたところ、蒙は努力して学問を積んだのだった。
このことから、この語は「呉下の阿蒙に非ず」という言い方で、昔はパッとしなかったが、今は立派になり昔のおもかげをとどめない、という場合に用いる。
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