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漢字の世界166

 

【2006.8.1】 
八方美人(はっぽうびじん)

誰にでもいい顔をする人

 どこから見ても美しい人。転じて、誰にでも如才(じょさい)なくふるまい、いい顔をする人。

 これは人をほめる言葉ではない。「あいつは八方美人だ」といえば、みんなにいい顔をして調子がよい、しかし実(じつ)がない、という非難の語気になる。この語には特に典故はないようだ。

 「八方」は、「四方(東・西・南・北)」とその間(乾(けん)=西北・坤(こん)=西南・艮(ごん)=東北・巽(そん)=東南)と、すべての方向、の意になる。

 「八方」のつく語でよく使われるものに、「八方塞(ふさ)がり」がある。どこへ行っても不吉な結果になる、何をしてもうまくゆかぬこと。

 「八方睨(にらみ)」というと、すべてに目配(めくば)りすること。また、どこからも正面を向いて見える肖像画にもいう。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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