美人は短命であったり、不幸(ふしあわせ)であることが多い。
古典では「佳人(かじん)薄命」として見える。「佳人」は美人と同じ。美しい女性をいう。「薄命」は、命(めい)薄しと読み、天命(運命)が薄い(恵まれない)ことから、転じて寿命が短い意となった。
宋の蘇東坡(そとうば)の「薄命佳人」詩に、「古(いにしえ)より佳人多くは薄命、門を閉(と)じ春尽きて楊花落つ」とある。不幸せな美人のしょんぼりと春を過ごすさまを描いている。
唐の杜甫の「佳人」詩も、「薄命」という表現はないが、不幸せな女性の歌だ。
今日ではもっぱら寿命の短い場合にいう。あたら若くて美しい女優が、不治の病に倒れたのは「美人薄命」の例として記憶に新しい。
小説では少し古いが「不如帰(ふじょき)」の浪子(なみこ)さんがそうだ。
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