一網(ひとあみ)で魚を取り尽くす。悪者(わるもの)を一度に全部捕え尽くすことを喩(たと)える。
「一網」は、魚を取るのに網をひと打ちする。「打尽」は、残らず取り尽くす。
宋の魏泰(ぎたい)の『東軒筆録(とうけんひつろく)』という雑録集に見える語。「劉(りゅう)(元瑜(げんゆ))、宰相に見(まみ)えて曰(いわ)く、聊(いささ)か相公(しょうこう)の為(ため)に一網打尽にす、と」(劉元瑜が宰相に会い、宰相閣下のために一味を残らず捕えました、と言った)。
官吏の不正事件の際、関係者全員を捕えたことを、宰相に報告したもの。
このように、この語はもっぱら事件や犯罪に関連して、法の網にかける場合などに用いられる。
たとえば、電車でスリを捕まえ、その自供からスリ団全員を“一網打尽”に検挙した、というふうに。
|