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漢字の世界170

 

【2006.8.5】 
天網恢恢(てんもうかいかい)

悪は必ず滅びる

 天の網(あみ)は大きく、目は粗(あら)いけれど決して悪人を逃さない。悪は必ず滅びることをいう。

 『老子(ろうし)』に基づく語。原文は「天網恢恢、疎にして失わず」とある。「疎にして漏(も)らさず」ともいう。

 「恢恢」は、大きく広いこと。天に張られた網が大きいとは、悪いことをしてどこへ逃げても逃げおおせないこと。「疎にして失わず」とは、網の目が粗くても捕まえて逃がさないこと。

 つまり、人の眼(め)はごまかせても天の眼はごまかせず、どんなにずるく立ち回ろうとも、悪いことをする者は必ず滅びるのである。

 近ごろも、法律をかいくぐって所得を偽ったり、強度計算をごまかしたり、”天網恢恢”、最後には捕まってしまう例に事欠かない。 


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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