酒(さか)盛りが済み、杯や皿が散らばっているさま。「赤壁賦(せきへきふ)」の最後に出てくる。盛り上がった宴会の後の描写によく用いる語だ。
蘇東坡(そとうば)と友人は舟を浮かべて赤壁の下(もと)に遊び、江上の清風と明月を心ゆくまで楽しんで酒を飲む。
「肴核(こうかく)すでに尽きて、杯盤狼藉たり。相(あ)いともに枕藉(ちんしゃ)して、東方のすでに白(しら)むを知らず」(酒のさかなも尽きて、杯や盤(さら)が散らかり放題(ほうだい)、互いを枕にしあって眠り、東の空が明るくなったのも気づかなかった)
「狼藉」は、乱れたさま。狼が草を藉しいて寝たあとは乱れていることからいう。
杯盤狼藉の語は、古く『史記』にも見えるが、直接には唐の白楽天(はくらくてん)の「杯盤狼藉宜(よろし)く夜を侵(おか)すべし」(夜通し騒ごう)に基づくだろう。
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