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漢字の世界177

 

【2006.8.15】 
茫然自失(ぼうぜんじしつ)

驚きのあまり気抜けする

 驚きのあまりぼんやりして気抜けするさま。「茫然」は、ぼんやりするさま。またあきれるさま。「呆然」とも書く。「自失」は、我を忘れること。

 『列子(れっし)』の中の、孔子と弟子との問答で、子貢(しこう)という弟子が孔子の教えに「茫然自失」した、とある。理解できずにぼんやりしてしまったこと。

 およそ、意外な事が起こったり、大事件に遭遇(そうぐう)したりすると、どうしてよいかわからず、ぼんやり我を忘れてしまう。子貢の場合は、孔子の教えがいつもと違い、どうしてよいかわからず、ぼうっとしてしまったさまを形容したのである。

 昭和20年8月15日、思いもかけぬ敗戦に、玉音放送を聴き”茫然自失”。あれから61年経(た)った。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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