非常に危ない瀬戸際。危険におちいる一瞬。
もとは1本の髪の毛で千釣(きん)の重さの物を引く。今にも切れそうな危ない喩(たと)え。
唐の韓愈(かんゆ)の文章に「漢氏以来、群儒(ぐんじゅ)百孔(こう)千瘡(そう)を修補するも、隨(したが)いて乱れ隨いて失(うしな)い、その危うさ一髪もて千釣(きん)を引くが如(ごと)し」(漢代以降、もろもろの学者たちは多くの穴や傷(きず)を補修したが、世の乱れのままに失敗し、その危うさは一すじの髪の毛で千釣の重さを引っ張るようなものだ)とある。
今では意味が転じて、髪の毛一すじほどのわずかの差で危機を逃れる喩えに用いる。「危機」は、生死を分けるほどの危険なとき。
近ごろは映画のタイトルの影響か、「危機一発」と書くのを見かけるが、これは誤用であるから、念のため。
|