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漢字の世界190

 

【2006.8.30】 
弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)

弱い者の肉を強い者が食う

 弱い者の肉を強い者が食う。強者が弱者を力で虐しいたげる喩たとえ。

 韓愈かんゆの文章に見えるが、そこでは鳥や獣(けもの)に例を取り、「弱之肉、強之食」(弱の肉は強の食)といっている。弱い者の肉は強い者の食べ物、という意味。

 ミジンコを魚が食べ、魚を鷺(さぎが食べ、鷺を鷲(わしが食べる。自然界ではこの掟(おきてを免れることはできない。自然の摂理というべきものだが、つまりは”力の論理”にほかならない。

 人間の世界でも、この論理はまかり通る。周の初めに1200あった諸侯の国は戦国の末に7つになり、ついには秦(しん)に食われた。

 今や強い企業が弱い企業を狙って、虎視眈眈(こしたんたん(120回)、買収をしかける「弱肉強食」の戦国時代になった。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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