ほとんど死にかけたのを辛(かろ)うじて助かること。9回死んで1回生きる、すなわち9回死ぬような目に遭っても1回助かる。
本来の意味は逆に、10中の9まで助かる見込みがない、ということのようだ。
『楚辞(そじ)』に「九死すと雖いえども猶なお未いまだ悔くいず」とあり、その注に「害(がい)に遇(あ)い、九死に一生無しと雖も、未(いま)だ悔恨(かいこん)せず」(害に遭ってほとんど助かる見込みがなくても後悔しない)という。死んでも悔いることがない、との意味である。
今では普通「九死に一生を得る」と言い、助かる方向の意味に用いている。たとえば、大震災に遭遇して家が倒れ、瓦礫(がれき)の中からやっと出てきたようなときなど、この言葉がピッタリあてはまる例となろう。
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