井戸の中にいるカエル。単に「井蛙(せいあ)」ともいう。見聞の狭い者、世間知らずの喩(たと)え。
『荘子(そうじ)』に「井蛙は海を語るべからず、虚きょに拘こうせらるればなり」(井戸の中の蛙(かえる)に海のことを話しても仕方がない。蛙が狭い所に拘束されているからだ)とあり、これに続けて「曲士(きょくし)は道を語るべからず、教えに束(つか)ねらるればなり」(見識の低い人には道のことを話しても仕方がない。その人がつまらぬ教えに縛られているからだ)と言う。
ここでいう「曲士」は、隅の方にいる人、の意。井戸の底にいる蛙と同じだ。
わが国のことわざにも、「井(い)の中の蛙(かわず) 大海(たいかい)を知らず」という。島国に閉じこもって外を見ないようでは、井底の蛙を笑えない。
|