いろいろな化(ば)け物、妖怪。「魑魅」は、山林の怪しい気きから生ずる怪物。もと『漢書』(前漢の歴史書)に出る語で、注によると「魑」は山の神、「魅」は老いた物(もの)の怪(け)だという。
「魍魎」は、中国の最も古い字書『説)文(せつもん)』によると、山川の精気が凝(こ)ってできたすだまで、三歳の子どものような姿、色は赤黒く、赤い目と長い耳と美しい髪の毛をもち、人の声をまねて人をたぶらかす、という。
四字の熟語としては、後漢の張衡(ちょうこう)の文に「魑魅魍魎も能(よ)く旃(これ)に逢う莫(な)し」と見えるのが古い。
チミ、モウリョウと音がそろって調子がよく、旧制一高の寮歌「ああ玉杯」に「魑魅魍魎も影ひそめ金波(きんぱ)銀波の海しずか」と愛唱され耳に親しい語となった。
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