黄(き)ばんだ髪の毛の老人と、お下(さ)げ髪の幼児。
黄髪は、年をとって黒い色から黄色に変化した髪の毛のこと。白髪と同じだが、表現としては柔らかで、長寿のニュアンスがある。前回紹介した「台背(たいはい)」(ふぐの背中のような斑紋)と続けて「黄髪台背」という四字熟語もあり、老人の長寿のさまをいう。
垂髫は、髫(まげ)を垂らす、の意で幼児のお下げ髪のこと。この四字は陶淵明(とうえんめい)の「桃花源記(とうかげんのき)」に出る。
道に迷った漁師が、桃の林の奥の洞穴(ほらあな)を抜けると、豊かな村里(むらざと)が現れ、そこには「黄髪垂髫、並びに台然(いぜん)として自(みずか)ら楽しむ」(老人も子供もみなにこにこと楽しんでいる)とある。老人と子供が楽しんでいれば、そこは平和な桃源郷(ユートピア)だ。
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