養ってくれた親に恩返しをすること。
『本草(ほんぞう)』(薬草や動植物の百科事典)によると、慈烏(じう)(からすの一種という)は生まれると母親が60日間食べ物を与えて養ってくれるので、成長すると60日間母親に食べ物を反(かえ)す。これを「反哺」という。「哺」は、口の中の食べ物の意。
白楽天に「慈烏夜啼(じうやてい)」という長い詩があり、
慈烏其の母を失(うしな)い
唖々(ああ)として哀音(あいおん)を吐く
声中告訴(こくそ)するがごとし
未だ反哺の心を尽つくさずと(慈烏は母を亡くし、カァカァと悲しげに鳴く。その声はまだ恩返しができないと訴えているようだ)と詠(うた)う。
古い注釈では慈烏は黒くて小さい種類というが、慈愛深いからすの意だろう。
|