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漢字の世界221

 

【2006.10.6】 
有為転変(ういてんぺん)

無常ではかないさま

 世の中が移り変わって少しも同じ状態にとどまらないこと。無常ではかない。

 仏教で、もろもろの因縁が生ずる現象を「有為(うい)」という。『伝燈録(でんとうろく)』(宋の道原(どうげん)の法語録)に「一切の善悪有為無為(ういむい)は皆夢幻(むげん)の如(ごと)し」とある。すべての物事は夢幻(ゆめまぼろし)のごとく移り変わってゆく、ということ。類似の言葉に「諸行無常(しょぎょうむじょう)」がある。

 わが国の『平家物語』に「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無常の響きあり」とか、『太平記』に「有為転変の世の習い、今に始めぬ事なれども」とかのように、これらの言葉はわが国の文学にも溶けこんで耳に親しい。

 記録によれば、欽明(きんめい)天皇(第29代)の御世(みよ)、百済の国から仏教が伝来してより、わが国の仏教は次第に民衆へと広まった。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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