孟子の母が息子の孟子の教育のために、三度住居を移したこと。子どもの教育にはよい環境を選ばなければならないという教え。
漢の劉向(りゅうきょう)の『列女伝(れつじょでん)』に次のような話が書いてある。―孟子は幼いころ、家が墓地の近くにあったので、いつも葬式ごっこをして遊んだ。母は「ここは子どもによくない」と、市場のそばへ引っ越した。すると孟子は商売のまねをして遊んだ。母は「ここもよくない」と今度は学校のそばに引っ越した。孟子は礼儀作法のまねをして遊ぶようになった。母は「ここならよい」と住みついた。孟子は成長すると学問に励み、ついに大儒(大学者)となった―
「孟母断機(もうぼだんき)」(53回)と並ぶ話。テレビやゲームの時代の母は、さてどうする。
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