しっかりした心を持ち、無口で飾り気がない。
第35回(2月25日)に「巧言令色(こうげんれいしょく)」(『論語』学而(がくじ)編の語。口さき上手でうわべを飾ること)を取り上げた折、その反対の意味の語として例にあげた。今回はそれを題材としよう。
これは『論語』子路(しろ)編に孔子の言葉として「剛毅木訥は仁に近し」と見える。剛毅は、心が強く態度がしっかりしていること。木訥は「朴訥」とも書く。「木」(朴)は、容貌や態度が質朴(しつぼく)(地味)なこと。「訥」は訥弁、口べたなこと。訥弁の反対が「巧言」になるだろう。
うわべや見てくれを飾る「巧言令色」に比べ、「剛毅木訥」は野暮(やぼ)に見えるかもしれないが、中はしっかりしている。人の美徳の一つだ。
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