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漢字の世界230

 

【2006.10.18】 
剛毅木訥(ごうきぼくとつ)

無口で地味だが強い心

 しっかりした心を持ち、無口で飾り気がない。

 第35回(2月25日)に「巧言令色(こうげんれいしょく)」(『論語』学而(がくじ)編の語。口さき上手でうわべを飾ること)を取り上げた折、その反対の意味の語として例にあげた。今回はそれを題材としよう。

 これは『論語』子路(しろ)編に孔子の言葉として「剛毅木訥は仁に近し」と見える。剛毅は、心が強く態度がしっかりしていること。木訥は「朴訥」とも書く。「木」(朴)は、容貌や態度が質朴(しつぼく)(地味)なこと。「訥」は訥弁、口べたなこと。訥弁の反対が「巧言」になるだろう。

 うわべや見てくれを飾る「巧言令色」に比べ、「剛毅木訥」は野暮(やぼ)に見えるかもしれないが、中はしっかりしている。人の美徳の一つだ。 


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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