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漢字の世界231

 

【2006.10.19】
質実剛健(しつじつごうけん)

飾り気がなく身体も丈夫

 飾り気がなくまじめで、体も丈夫なこと。

 前回の「剛毅木訥」に近い意味の語だが、より日常的に用いる。『論語』などにこのままの語は見えない。

 質実は、朴(しつぼく)誠を簡略にした。飾り気なくまじめ。シと音(おん)のそろう畳韻(じょういん)語。剛健は、『易経』(5経の1)の乾(けん)の卦(け)に「大いなるかな乾や、剛健にして中正、純粋にして精なり」(乾の卦は偉大である。強く正しく、純粋でまじり気がない)とある。

 質実剛健は、江戸時代、武士の身につけるべき美風として唱導された。とかく華美に流れ、軟弱に陥りがちな人情を引き締めるものだが、行き過ぎて潤いのない殺伐とした風(ふう)となってもいけない。すべからく「文質彬々(ぶんしつひんぴん)」(12回)たるべし。


全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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