飾り気がなくまじめで、体も丈夫なこと。
前回の「剛毅木訥」に近い意味の語だが、より日常的に用いる。『論語』などにこのままの語は見えない。
質実は、質朴(しつぼく)誠実を簡略にした。飾り気なくまじめ。シツジツと音(おん)のそろう畳韻(じょういん)語。剛健は、『易経』(5経の1)の乾(けん)の卦(け)に「大いなるかな乾や、剛健にして中正、純粋にして精なり」(乾の卦は偉大である。強く正しく、純粋でまじり気がない)とある。
質実剛健は、江戸時代、武士の身につけるべき美風として唱導された。とかく華美に流れ、軟弱に陥りがちな人情を引き締めるものだが、行き過ぎて潤いのない殺伐とした風(ふう)となってもいけない。すべからく「文質彬々(ぶんしつひんぴん)」(12回)たるべし。
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