心に欲望がなくあっさりしていること。
「無欲」(無慾とも書く)も「恬淡」(澹)も、老荘思想でよく用いる言葉だ。
無欲は、『老子』に「我無欲にして民自(おのず)から樸(ぼく)なり」(私〈聖人のこと〉が無欲だから、民は自然に質素になる)とあり、『荘子』にも「無欲にして天下足(た)る」(〈天下を治める者が〉無欲であれば天下に物がゆきわたる)と見える。
恬淡は、『老子』に戦術の用い方として「恬淡を上と為(な)す、勝ちて美とせず」(あっさりとするのが上策だ。勝っても誇らない)とある。『荘子』にも「恬淡無為」(あっさりとして何もしない)と言う。
欲をかけば無理をする、争いが起こる。古(いにしえ)の賢人の知恵をかみしめよう。
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