穏やかで情が深く、誠実なこと。
「志操堅固」が心の持ち方を評する語であるのに対し、「温厚篤実」は人のあり方、性質を評する語。
温厚は、『礼記(らいき)』(五経の一)に「天地温厚の気」という表現が見え、はじめは気候が暖かく和らぐことを意味していた。それがだんだん広がって、人柄や文章の調子など、穏やかでじっくりしているのを表現するようになった。
篤実は、情が篤(あつ)くもの事に誠実なこと。「剛健篤実」という語が『易経』の注に見え、「篤実人」という評語が史書に見える。
これらの用例を見ると芯(しん)がしっかり強い、という意味も含まれているようだ。温厚篤実、志操堅固といえば、非の打ちどころがない。
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